性感染症とは

性器に痒みや違和感などがある場合、それは性感染症の症状かもしれません。

性行為を経験した人すべてに性感染症のリスクがあります。正しい知識をつけることは、自分だけではなくパートナーの健康を守ることにも繋がるでしょう。

ここでは数ある性感染症の中でも、特に注意すべき症状などをまとめて紹介します。

性感染症(STD)は性行為によって感染する病気です

かつて性病と呼ばれていた性感染症は、性行為によって感染する病気の総称です。現在ではSTD(Sexually Transmitted Diseases)、またはSTI(Sexually Transmitted Infections)と呼ばれることもあります。

オーラルセックス(口腔性交)やアナルセックス(肛門性交)も感染経路として考えられるため、異性だけではなく同性のパートナーから感染するケースも少なくありません。

不特定多数の客と性的な接触がある風俗はもちろん、一般的なカップル間であっても感染するリスクは高く、特定のパートナーしかいない場合も注意が必要です。

若年層を中心に感染拡大中

性感染症患者数の推移

2000年代前半に患者数が急増した性感染症ですが、徐々に減少傾向にありました。ただし現在でも患者数は多いままであり、中には著しい感染拡大が懸念されているものもあります。

特に梅毒は2014年頃から現在にかけて感染者が急激に増加し、厚生労働省などの行政機関も注意を呼びかけています。

性行為の低年齢化が進む現在、性感染症に関する知識不足も感染拡大の一因だと言えるでしょう。

性感染症には様々な種類があります

性感染症と一口に言っても、原因となる菌やウイルスによって病名は異なります。もちろん症状や治療法などにも違いがあるため、早期発見・早期治療のためにも正しい知識を身につけることが大切です。

感染リスクが高い性感染症について確認してみましょう。

性器クラミジア・淋病

性器クラミジアと淋病は感染力が強く、それぞれの症状が似ていることで知られる性感染症です。男性の場合は排尿痛や尿道の痒み、女性の場合はおりものの増加などが現れます。

この2つの性感染症の怖いところは、女性の多くに自覚症状がないという点です。おりものの増加は生理前の症状と似ているため、感染に気付かない女性が少なくありません。

症状が進行すると不妊症や流産を招く恐れがあるほか、HIVの感染リスクを高める要因としても問題視されています。

抗生物質を服用することで簡単に治せますが、再感染を防止するためパートナーも同様の治療を行うことが大切です。

性器ヘルペス

単純ヘルペスウイルスに感染することで発症する性器ヘルペスは、性器周辺にピリピリ・チクチクとした痛みをもたらし、後に水ぶくれのような病変が現れます。

性器ヘルペスは再発することが多い性感染症です。一度感染するとウイルスは消えることなく神経内に潜伏し、免疫力が低下したタイミングなどに活性化してしまうのです。

病変が口周りに現れる口唇ヘルペスも他人に感染します。キスやオーラルセックスにも注意が必要です。

点滴静注薬や内服薬、外用薬による治療が行われます。

カンジダ症

カンジダ症は女性に多くみられますが、実は原因となるカンジダ菌は膣内に常在している菌です。ただし性行為によってうつる可能性は十分にあります。

ホルモンバランスの乱れや免疫力の低下などによってカンジダ菌が増殖すると、膣の痒みや酒粕状のおりものの増加、または排尿痛をもたらします。

男性の場合は亀頭部分の痒みや炎症、または白いカス状の分泌物が増えるなどの症状が現れます。悪化すると尿道炎などを起こす可能性もありますが、男性にカンジダ症の症状が現れることは稀です。

自然治癒することもありますが、内服薬や外用薬による治療が確実です。

尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマはHPV(ヒトパピローマウイルス)によって発症する病気で、性器や肛門の周辺にイボができる症状が特徴的です。

多くの場合イボ以外の自覚症状が現れにくく、痒みや痛みなどがないという人も少なくありません

HPVに感染すると、数週間から数ヶ月の潜伏期間を経て症状が現れます。感染時期の特定は難しいのですが、できるだけ早めの治療が大切です。

内服薬による治療や手術によるイボの除去が可能ですが、近年では外用薬でイボをなくす方法が主流になりつつあります。

梅毒

梅毒は2010年頃から急激に感染が拡大しています。2018年には2000年以降で最多となる患者数に達しました。

感染後3週間ほどで性器にしこりが、数カ月後には全身に赤い発疹が現れます。最悪の場合は死に至る可能性もあるため、特に注意すべき性感染症です。

感染力はかなり強く、キスはもちろんコップや箸の使い回しで感染する恐れがあります。

ペニシリンなどの抗生物質による投薬治療が行われますが、症状の進行具合で治療期間は異なります。

いんきんたむし

いんきんたむしは男性に多くみられる感染症です。水虫の原因菌でもある白癬菌というカビの一種によって引き起こされ、激しい痒みなどの症状が現れます。

自分自身や家族の水虫から性器に感染することも多く、タオルの共有などには注意が必要です。

男性に多い感染症だと思われがちですが、性行為によって女性に感染する可能性もあります

症状が軽度であれば外用薬、炎症が強い場合などは内服薬による治療が行われます。

水虫

水虫は、カビの一種・白癬菌が感染して発症します。
水虫の多くは足で発症しますが(足白癬)、菌は手や爪の皮膚に寄生することもあります。

白癬菌は人の肌からはがれ落ちた角質の中にも存在しており、それを素足で踏む・手で触れることが感染の原因です。

白癬菌が肌に付着しただけでは水虫を発症することはありませんが、不衛生・高温多湿など菌の繁殖に適した肌環境では感染しやすくなります。
水虫を予防するためには、肌や爪先を清潔な状態を保つことがもっとも重要です。

トリコモナス症

トリコモナス原虫が感染して起こるトリコモナス症は、10日から6ヶ月もの潜伏期間を経て発症します。

女性に現れる症状として、悪臭を伴うおりものの増加や、性交痛・排尿痛などが挙げられます。男性には自覚症状がないケースがほとんどです。

浴槽やトイレの便座などから感染する可能性はありますが、衛生環境が整っている現在では、性行為が主な感染経路として考えられています。

基本的に抗菌薬を服用することで完治します。

HIV・AIDS

HIVとはヒト免疫不全ウイルスのことで、免疫細胞に感染します。

やがて免疫力が低下し、様々な病気を発症するようになってしまうのですが、この状態をAIDS(後天性免疫不全症候群)といいます。

母子感染や血液感染のリスクもありますが、もっとも危険なのは性行為による感染です。特に腸の粘膜は傷付きやすいため、アナルセックスによって感染する可能性はとても高いといえます。

HIVに感染してもすぐにAIDSを発症するわけではなく、現在では投薬によって病気の進行を抑えることが可能です。

アメーバ赤痢

アメーバ赤痢は激しい下痢や血便、腹痛などを引き起こします。赤痢アメーバという原虫が腸内で炎症を起こすことが原因です。

主な感染経路は赤痢アメーバによって汚染された水や食べ物を摂取することですが、アナルセックスによってうつることもあり、特に男性同士のカップルはそのリスクが高いとされています。

投薬治療が可能ですが、肝膿瘍がある場合は手術が必要になることもあります。

A型肝炎・B型肝炎・C型肝炎

注射や輸血などによる血液感染が主な感染経路だとされていますが、性行為によってうつることもあります。ウイルスに感染すると発熱や食欲不振、または黄疸などの症状が現れます。

C型肝炎は無症状であるケースも多く、発見が遅れて慢性化してしまうことも。重症化すると意識障害や肝臓がんを発症することもあるため、迅速な対応が必要です。

それぞれ投薬によって治療可能で、A型とB型には予防ワクチンがあります。

放置は厳禁!性感染症は早期治療が肝心です

性感染症の中には初期症状が出にくいものもあり、発見が遅れてしまうこともあります。

しかし治療が遅れると完治するまでに時間がかかったり、感染が拡大したりする要因になってしまいます。

初期症状を見逃さないこと、そして感染に気付いたらすぐに治療を始めることが大切です。

自然治癒する性感染症はごく一部。ほとんどは投薬による専門的な治療が必要になるため、放置することは絶対にやめましょう

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