ジェネリック医薬品とは

ジェネリック医薬品は後発医薬品とも呼ばれ、先発医薬品(新薬・先発薬)と同じ有効成分から作られています。

先発薬の特許が切れたあとで開発され、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」にしたがって、先発薬と同じ効果や安全性が認められたのちに販売されます。

開発にかかる時間やコストが大幅に軽減されているため、先発薬と比べて安く販売できるのが一番のメリット。
医療費節約という世界共通の課題に取り組むべく、WHO(世界保健機関)もジェネリック医薬品の積極的な使用を勧めています。

医療費負担を軽減するために開発されています

少子高齢化が進むにつれて、日本だけでなく世界中で医療費の増加が懸念されています。

先発薬の研究・開発には、200~300億円もの費用が投資されているのを知っていますか?

商品として完成したのち、先発薬を作った製薬会社が特許を取得すると、20年間は独占販売が可能になります。
価格競争が起こらないうえ、先発薬の価格は効果や安全性に対する評価が顧慮されているため安価で売られることはありません。

特許が失効したあとで作られるジェネリック医薬品は、低コストで開発・製造できるため販売価格もリーズナブル
医薬品が安価で流通すると患者一人ひとりが支払う費用だけでなく、国が負担する医療費の軽減までもが可能となるのです。

患者の自己負担額を減らす

ジェネリック医薬品の価格は、先発薬の20~50%ほどです。

インフルエンザ治療薬として知られているタミフルを例に、比べてみましょう。

インフルエンザを治療する場合
新薬
(タミフル)
1カプセル 267.8円
ジェネリック医薬品
(オセルタミビルカプセル)
1カプセル 129.7円

インフルエンザを治療するためには、1日2回、5日間服用する必要があります。
先発薬では2,678円かかるのに対して、ジェネリック医薬品なら1,297円で済んでしまいます。

どのような病気であっても小さな子供や高齢者は罹患しやすく、治療費がかさんでしまいがち。
また完治までに時間がかかる病気の場合には、やはり費用負担が大きくなってしまいます。

ジェネリック医薬品の選択肢が増えることで、患者個人の負担軽減に役立っているのです。

国の医療費を減らす

病気の治療にかかる費用は、患者が窓口で支払う金額がすべてではありません。
医療費の70~90%は、国や地方自治体に納められる税金と保険組合に納められる保険料でまかなわれています。

少子高齢化にともなって医療費は増加し続けており、日本の年間医療費はおよそ40兆円にのぼります。
そのなかで薬剤費が8兆円を占めている現在、ジェネリック医薬品の存在が医療費の大幅削減に役立つと期待されています。

先発医薬品(新薬)との違い

先発薬と同じ有効成分を同じ量だけ用いて作られるジェネリック医薬品は、効果・効能、安全性において同じレベルを維持しています。

ジェネリック医薬品と先発薬で変わらない点

✔ 有効成分の種類
✔ 有効成分の配合量
✔ 効果、効能
✔ 用法、用量

ジェネリック医薬品は、先発薬と同等の効果や安全性が認められなければ商品化できません。
有効成分や分量をそのまま引き継いで作られているので、先発薬と変わらない有効性が得られるのです。

だからといって、先発薬とジェネリック医薬品はまったく同じではありません。
飲みやすい剤形や味に作り替えることは認められているため、有効成分以外の添加物は新薬と違っている場合があります。

剤形や味のバリエーションが増えています

あとから作られるジェネリック医薬品は、先発薬に対して求められた改善点を参考に作られることがあります。

もっと小さい錠剤なら飲みやすいのに…
苦味がなかったらいいのに…

など、さまざまなリクエストに応えるための工夫がこらされ、より患者に寄り添った商品展開が進められています。

ジェネリック医薬品の推進率

医療費の増大は世界中問題視されており、ジェネリック医薬品の普及が急務と考えられています。

欧米諸国ではジェネリック医薬品のシェアが進んでいますが、先進国のなかでも日本ではまだまだ浸透していないのが現状です。

ジェネリック医薬品の普及率(2016年)

アメリカ 91.7%
ドイツ 86.3%
イギリス 76.6%
フランス 67.6%
日本 59.0%

医療費が増え続けると国民健康保険制度の保持が難しくなるため、増税や個人負担額の増加といった可能性が懸念されます。

日本での普及率は72.6%

2018年、ようやく日本でのジェネリック医薬品の普及率が72.6%まで上昇しました。
(※厚生労働省「後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進について」

しかし厚生労働省は、
「2020年9月までに、後発医薬品の使用割合を80%とし、できる限り早期に達成できるよう、更なる使用促進策を検討する」
という目標を掲げています。

未来の医療を支えるためにも多くの人がジェネリック医薬品の価値を認識し、積極的に選択していくことが重要なのです。

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