AGA(男性型脱毛症)とは

AGA はAndrogenetic Alopeciaの略で、男性ホルモンの影響で薄毛・抜け毛が起こる男性型脱毛症を指します。

 

思春期以降の男性が生じる薄毛・抜け毛は、9割以上がAGAによるものです。
髪が薄くなる、額が広くなるといった症状は、歳を重ねた男性なら誰にでも起こると考える人は多いでしょう。

年代別AGAの発症率

しかしAGAは、成人男性の3人にひとりが発症しています。
20代や30代でも、AGAを発症する可能性は十分にあるのです。

AGAの症状

AGAは少しずつ、確実に進行していきます。
早い段階で治療をはじめるためには、こまめに毛髪の状態をチェックして異変に気づく必要があります。

□ 抜け毛の量が増えた気がする

□ 髪が細く短くなってきた

□ 以前よりもおでこが広くなっている

□ 頭のてっぺんが薄くなってきた

ひとつでも当てはまる人は、AGAの可能性あり。
初期症状は、前頭部(髪の生え際)や頭頂部に現れはじめます。
「髪質が変わってきた」「髪のボリュームが減った気がする」といった変化が見られたら、AGAを疑ってください。

薄毛の進行について

AGAによる抜け毛はM字・U字・O字の形状から始まり、次第に範囲が拡がっていきます。
最終的に、前頭部から頭頂部の脱毛範囲が一体化してしまいます。

AGAの特徴

AGA以外の抜け毛・薄毛

抜け毛や薄毛の原因がAGA以外の場合、原因となる症状を治療することで症状は改善されていきます。

主に考えられるケースは、1.円形脱毛症、2.ひこう性脱毛、3.脂漏性脱毛症、4.牽引性脱毛の4つですが、降圧剤や高脂血症の治療薬、抗がん剤の副作用や放射線治療の影響で脱毛が起こる場合もあります。

 

円形脱毛症

500円玉~卵大で1~数ヵ所の脱毛を生じます。
一部分だけが抜け落ちることがあれば、多発的に発症して広範囲にわたって脱毛することもあります。
自己免疫疾患のひとつで、ストレスやアレルギーが原因で発症すると考えられています。
治療では、ステロイド内服薬や育毛剤(外用薬)が使われます。

ひこう性脱毛

環境の悪化が原因。
フケの大量発生により菌が繁殖し、毛根に炎症が起こり脱毛します。
ストレスや偏った食生活のほか、シャンプーや整髪料が原因となることも。
シャンプーや生活習慣の改善で、脱毛は治まります。

脂漏性脱毛症

ホルモンバランスの変化による皮脂の過剰分泌によって発症します。
毛穴がつまると毛母細胞にもダメージがおよび、髪が育たなくなってしまうのです。
洗髪方法やシャンプー剤を見直すことで、予防・改善できます。

牽引性脱毛

髪を強く引っ張る状態が続くと頭皮に負担がかかり、髪が抜けやすくなります。
毎日ヘアスタイルや髪の分け目を変えるほか、頭皮マッサージを施すことで改善します。

AGAの原因

AGA(男性型脱毛症)は、変性した男性ホルモンによって引き起こされます。

皮脂腺や毛母細胞に存在している5αリダクターゼという酵素が男性ホルモン・テストステロンと結合すると、DHT(ジヒドロテストステロン)に変化します。

DHTは、毛母細胞が自然に死滅していくように遺伝子をプログラムする力を持っています。
つまり、DHTが増える=毛母細胞がどんどん減少していくということ。
正常なヘアサイクルが乱れ、新しい髪が育つことがないまま抜け落ちるという症状によって薄毛が悪化していきます。

正常なヘアサイクル

正常であれば生える髪と抜ける髪のバランスが保たれているため、極端な薄毛になることはありません。
髪には生えかわり周期があり、成長期・休止期・後退期を繰り返しながら太く長く成長していきます。

しかしAGAになると、DHTが生成され、生えかわり周期に異常をきたします。
乱れた周期では、成長期がなくなって休止期ばかりが長くなるという状態が継続。
抜け落ちる毛だけが増えて新しく育つ毛は少なく、結果的に髪の総量が減少してしまうのです。

遺伝による体質

AGAの原因であるDHTを生成しやすいかどうかは、持って生まれた遺伝子によって定められています。

AGAになりやすい遺伝子は、1.DHTが作られやすい遺伝子2.DHTの影響を受けやすい遺伝子のふたつ。

AGAの発症は、変えることができない体質によるものです。
家族や親せきに薄毛の男性が多いという場合は要注意。

自分の変化を厳しく観察しておき、髪の減少に気づいたら早めの対処が必要です。

DHTが作られやすい遺伝子

髪のもとである毛母細胞を損傷するのはDHTですが、そのDHTを作るのは5αリダクターゼという酵素です。

5αリダクターゼは1型と2型に分類されます。

【1型】側頭部や後頭部の皮脂腺に多い
【2型】前頭部や頭頂部の毛母細胞に多い

毛母細胞でDHTが作られやすい2型5αリダクターゼの方が、薄毛・抜け毛の症状が顕著に現れます。

5αリダクターゼの量や強度は、優性遺伝。
父親か母親のいずれかが5αリダクターゼの活性が強い遺伝子を持っていると、子にも受け継がれます

DHTの影響を受けやすい遺伝子

テストステロンがDHTに変性したとしても、毛母細胞を死滅させるというプログラムが発動しなければAGAを発症することはありません。

生成されたDHTを受容しやすいかどうかは、母親からの隔世遺伝。
X染色体によって母親の祖母から受け継がれます

このように、AGAの発症は生まれたときから決まっていることなのです。

生活習慣の乱れ・ストレス

AGAの原因は先天的な資質によるところが大きいものの、生活習慣の影響も少なくないと考えられています。

□ 喫煙習慣がある

□ ストレスを受けやすい

□ 偏った食事

□ 過度なダイエット

□ 運動不足

髪の生育に必要な栄養が不足したり、自律神経の乱れ・ホルモンバランスの異常を引き起こしたりと、現代人のライフスタイルの中にはAGAの発症や悪化につながる要因が多くひそんでいます。

AGAの改善・治療

AGAは投薬によって進行を止めることができますが、発毛・増毛の効果を実感できるまでに早くて数ヵ月~6ヵ月、1年以上かかることもあります。

すでに症状が進んでしまっている・即効性を求めているといった場合には、脱毛部分に自毛を移植する方法が有効です。

服薬

目的 抜け毛を予防する 髪を育てる
働き 5αリダクターゼの働きを阻害し、DHTの生成を抑制する 頭皮の血流を促し、髪の成長に必要な栄養を届ける
有効成分名 フィナステリド
デュタステリド
ミノキシジル
商品名 プロペシア
フィンペシア
デュタボルブ など
ミノキシジルタブレット
ロニテン・ジェネリック など

毛髪再生治療

毛髪再生治療には、HARG(ハーグ:Hair Re-generative theraphy)とメソセラピーの2つがあります。
どちらも、栄養分を頭皮へ注入して毛母細胞の成長を活性化。頭皮が若返った状態になり、健康な髪が育ちやすいコンディションを維持します。

施術名 HARG メソセラピー
特徴 どのクリニックも共通のHARGカクテル(栄養+成長因子)を使う クリニックごとに調合した栄養分を使う
方法 注射のみ 注射、針付きのローラー、炭酸ガス、レーザー照射 など

植毛

コストが高く、数十万円~数百万円という出費がデメリットとして挙げられますが、一度の施術で薄毛が解決できるという即効性が最大の特徴です。

施術 自毛植毛 人口毛植毛
特徴 自分の髪を移植 ポリエステルやナイロンといった人工繊維で作られた髪を移植
メリット 自分自身の細胞なので定着しやすく、副作用や後遺症のリスクが少ない 髪の本数や長さを自由にカスタムできる
デメリット 毛量の調整は難しい 感染症を起こしやすい

生活習慣の改善

健康な髪を育てるためには、1.バランスのとれた食事、2.規則正しい生活、3.喫煙や過度な飲酒を控えるといった生活を心がけることが大切です。

とくに食事では、育毛に役立つ栄養を積極的に摂りましょう。
食事だけでは難しいという場合には、サプリメントで補うという方法もあります。

積極的に摂りたい栄養

たんぱく質(髪を作る)
ビタミンA、ビタミンE(頭皮の血行を改善)
ビタミンB(アミノ酸をたんぱく質に変える)
亜鉛(5αリダクターゼを抑制する

十分な睡眠を確保することも、髪の育成にとっては重要なポイントです。
睡眠不足が続くとホルモンバランスが乱れ、細胞分裂や髪の生成を促すホルモンが分泌されません。
さらに寝不足のせいでストレス過多になると、自律神経の緊張状態が続きます。
血流が滞り、髪に必要な栄養分が頭皮に届かなくなってしまいます。

喫煙や過度な飲酒は、髪の成長に欠かせないスムーズな血流を妨げる原因。
ライフスタイルを変えることは容易ではありませんが、少しずつ改善を試みていきましょう。

女性の薄毛症状と対処法

「髪は女の命」と言われるほど、女性にとって髪は大切なものです。
薄毛や抜け毛の症状は大きなコンプレックスとなり、深刻な悩みに発展してしまうことも。
女性に発症する薄毛・抜け毛の症状は、ホルモンバランスの変化やストレス、ヘアカラー、パーマといったさまざまな要因が重なり合って発症するので、解決方法は人によって異なります。

男性のAGAとは原因が違うため、女性がプロペシアやミノキシジルなどの男性向けAGA治療薬は使えません
女性の薄毛治療では、症状を正しく把握して原因を見極めることが重要です。

びまん性脱毛症

女性が抱える薄毛の悩みで、もっとも多いのがびまん性脱毛症です。
びまんとは一面に広がる・蔓延するという意味で、抜け毛の症状が頭部全体に広がってしまいます

女性ホルモンの低下や過度なストレス、偏食やダイエットによる栄養不足など、さまざまな発症要因が考えられます。

髪の生えかわりサイクルの乱れが、薄毛・抜け毛につながります。
髪が細く弱くなってしまうだけでなく、髪が成長しないまま抜け落ちるため「髪が少ない」という印象がどんどん進行していきます。

円形脱毛症

円形・楕円形など、部分的に頭髪が抜ける症状です。
抜け毛の量が急激に増えたと感じたら、円形脱毛症の可能性を疑ってください。

ストレスや過労、アレルギーなどさまざまな原因が考えられますが、自己免疫疾患による症状の場合もあります。
免疫機能を持っているリンパ球に異常が発生し、毛母細胞を攻撃してしまうため脱毛が起こります。
治ったように見えても再発するケースもあるため、長い期間に渡ってうまくつき合っていく必要があります。

分娩後脱毛症

出産によって、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)のバランスが大きく乱れるために起こります。
産後で生活リズムが安定せず、自律神経に悪影響をおよぼしてしまうことも原因のひとつ。

抜け毛の症状は、産後2~3ヵ月にピークを迎えます。
それから半年~1年ほど経過し、授乳期間が終わる頃にはじょじょに回復。
ただしホルモンバランスが整いはじめても毛量が戻るまでは個人差があるため、抜け毛・薄毛の状態が長引くケースもあります。

FAGA(女性男性型脱毛症)

加齢によって女性ホルモンが減少し、男性ホルモンが優位となるために起こります。

AGAと同じように、5αリダクターゼによって生成されるDHT(ジヒドロテストステロン)が原因。
毛母細胞が損なわれて、健康な髪が育たなくなってしまいます。

 

全体的に髪のボリュームは減ってしまいますが、もともとの女性ホルモン量が多いため髪が抜けきってしまうことはありません。

牽引性脱毛症

髪の長い女性に多く見られる症状で、ポニーテールのように髪を引っ張るヘアスタイルが原因で起こります。

髪を強く引っ張る状態が続いていると、頭皮に負荷がかかり髪の成長に支障をきたしてしまいます。
ヘアスタイルを変える・頭皮マッサージを行なって血流を改善するといった対策で、回復していきます。

女性ができる薄毛の治療法

女性の薄毛はさまざまな要因が絡み合って起こるため、対策方法はひとつとは限りません。
バランスのとれた食事や十分な睡眠を確保する、ストレスを溜めずにリラックスして過ごすなど、日常生活の中ではじめられる方法がたくさんあります。

しかし、早くかつ確実に効果を得るためには、より積極的な治療を行なう必要があります。
育毛剤で行なうケアからクリニックで受ける施術まで、かかる費用や手間、内容はさまざま。
数ある選択肢の中から自分に適した方法を選び、試してみましょう。

サプリメントを摂る

サプリメント

食事だけでは不足しがちな栄養素の補給が目的です。
髪の成長に必要な成分を補い続け、毛母細胞の活性化や頭皮環境の正常化を図ります。

女性専用の薄毛治療薬として世界で初めて認められたパントガールをはじめ、ミレットエキスやパントテン酸などの育毛成分をたっぷりと配合したプリオリンといった商品が有効。
亜鉛やLリジン、システイン、イソフラボン、人参エキスなどの成分が育毛をサポートします。

育毛剤を使用する

女性用育毛剤を使用

ローションやフォームを頭皮に塗布し、血流を改善します。

男性用育毛剤でも用いられるミノキシジルが血行を促し、毛母細胞への栄養補給を助けます
十分な栄養が届くと毛母細胞の分裂が活発になり、育毛・発毛が期待できます。

副作用として、血行促進作用による血圧の低下が挙げられます。
女性は男性と比べて血圧が低いため、使用できるミノキシジルは濃度2%までとされています。

毛髪再生治療を受ける

メソセラピー

メソセラピーおよびHARG(ハーグ)は頭皮に栄養分を注入する治療法で、服薬と並行して行なうのが一般的です。

メソセラピーは、育毛を助ける栄養素を補給する施術。
ミノキシジルやビタミン、アミノ酸といった成分カクテルを頭皮に注射します。

HARGは毛髪再生医療のことで、栄養分に加えてたんぱく質から抽出した成長因子がプラスされています。
メソセラピーよりもさらに高い発毛効果が期待できます。

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