HIV・AIDS
性感染症の中で最も知名度が高いHIV・AIDSは、性行為だけではなく血液感染のリスクも高いという特徴があります。
現在では症状の進行を抑える方法が確立されていますが、感染しないようしっかりと予防することが重要です。
ここではHIVとAIDSの違い、そして詳しい症状や適切な予防法などを解説していきます。
目次
HIVとAIDSの違いとは
HIVとAIDS(エイズ)はひと括りにされることも多いのですが、それぞれ違う意味を持つ言葉です。
HIV=AIDSではなく、すぐに症状が現れるわけでもありません。
まずはそれぞれの違いについて知りましょう。
HIVはウイルスの略称
HIVはヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus)を指す言葉です。
性感染症のほとんどは性行為が主な感染経路ですが、HIVは血液や母乳にも含まれるため、血液感染や母子感染のリスクも高いと言えます。
HIVは傷口などから体内に侵入します。他の性感染症(クラミジアや淋病など)により炎症を起こしている場合、HIVの感染リスクが高まるのはこのためです。
そして女性よりも男性の感染者が圧倒的に多いことが分かっています。
直腸の粘膜はとても傷付きやすいため、アナルセックスによってHIVに感染する男性が多いのです。もちろん男女間のアナルセックスも感染リスクを高める要因になります。
AIDSは病気の略称
AIDSとは後天性免疫不全症候群(Acquired Immuno-Deficiency Syndrome)のことで、HIV感染によって免疫力が弱まり、あらゆる病気を発症する状態を指します。
23の疾患指標があり、そのいずれかを発病するとAIDSを発症したと診断されます。
これまで「AIDSを発症すると死に至る」というイメージが深く根付いていましたが、現在では適切な処置を行うことで生活水準を保つことができます。
しかし発症する前と後とでは明らかなQOLの差が生じるため、発症前の対応が肝心です。
HIV感染からAIDS発症までは数年かかる
性感染や血液感染によってHIVに感染すると、すぐに免疫力が低下するのではなく、無症状の期間を経てAIDSを発症するケースがほとんどです。
①急性期 | ②無症候性キャリア期 | ③エイズ期(発症) |
◆発熱や下痢、倦怠感などの症状が出る(インフルエンザに似ている) ※症状は数週間以内に治まる |
◆10~15年無症状が続く |
◆健康体であれば感染しないような病原体に感染する |
無症候性キャリア期は人によって違いがあり、HIV感染から2年ほどでAIDSを発症するケースも報告されています。
検査・治療はすぐに行うべき
現在の医療技術において、一度感染したHIVを完全に排除することはできません。
しかし早期発見・早期治療により、AIDSの発症を防ぐことは可能です。専門的な治療(抗HIV薬の内服など)を永年続ける必要がありますが、普段と変わらない日常を過ごせます。
全国各地の保健所では匿名かつ無料でHIVの検査を受けられるため、少しでも不安を抱えている場合はすぐに足を運びましょう。
また、HIV検査キットなどを利用して陰性/陽性を調べる方法もあります。
HIV感染にいち早く気付くことがAIDSの発症を食い止める唯一の方法です。定期的に検査を受けるようにしましょう。
HIV感染はコンドームで予防しましょう
HIVの感染経路として最も多いのが性行為です。しかしコンドームを装着すれば高確率で感染を予防できます。
挿入直前ではなく性行為が始まってすぐにコンドームを装着し、精子が粘膜に付着しないようにしましょう。
膣や直腸だけではなく口腔粘膜から感染する恐れがあるため、オーラルセックスにも注意が必要です。