トリコモナス症
パートナー間で感染を繰り返しやすいトリコモナス症。特に女性には強い症状が現れやすく、放置すると不妊症などの原因になってしまうこともあります。
感染拡大を防ぐためには、体調の変化にいち早く気付き、すぐに対処することが大切です。
ここではトリコモナス症の症状・治療法について詳しく解説していきます。性行為の経験がない方にも感染のリスクはあるため、しっかりと確認しましょう。
トリコモナス症とは
トリコモナス症の原因は膣トリコモナスという原虫で、潜伏期間は10日ほどです。
主に男女間の性行為によって感染し、膣内や子宮頸管、または尿道などに寄生して炎症を起こします。
男性よりも女性に多い性感染症で、妊娠中であれば胎児や新生児にも感染するリスクがあります。
また、下着や便器などに付着した分泌物などからの感染にも注意が必要です。
男性の症状
男性のほとんどはトリコモナス症に感染しても無症状、もしくは軽い症状で済みます。尿道に寄生した原虫は排尿によって外に押し出されることが多いのです。
しかし原虫が尿道や前立腺に寄生すれば、尿道炎・前立腺炎による痛みや痒み、そして膿などの症状が現れます。
男性のトリコモナス症は前立腺がんのリスクを高める可能性があるため、異変に気付いた段階ですぐに治療を始めましょう。
女性の症状
女性は男性よりも強い症状が現れやすく、主におりものの変化や膣の痒みによって感染に気付く人が多いようです。
✔泡状のおりものが大量に出る
✔おりものが黄緑(黄色)気味で悪臭がする(生臭い・腐敗臭など)
✔陰部に強い痒みがある
✔性行為、または排尿の際に痛みがある
上記に当てはまる場合、トリコモナス症である可能性は高いといえるでしょう。
ただし女性に感染した原虫の潜伏期間は10日~6ヶ月と差があり、初期症状に気付かない女性も少なくありません。
炎症が子宮や卵管にまで及ぶと不妊や流産・早産になりやすいため、おりものの変化を見逃さないようにしましょう。
ピンポン感染を防ぐことが大切
トリコモナス症に感染した男性の大半、そして女性の半数が無症状のまま過ごしている可能性があります。
どちらかが治療を受け完治しても、パートナーによって再感染することは珍しくなく、これをピンポン感染といいます。
トリコモナス症を予防するためにはコンドームの装着が不可欠です。妊娠を希望していないならしっかり避妊し、性感染症のリスクを避けましょう。
また、どちらかに症状が現れた場合、パートナーも検査・治療を受ける必要があります。無症状であっても原虫が寄生している恐れがあるため、再感染にも注意しましょう。
トリコモナス症は内服薬で治療可能です
投薬によって原虫を排除することでトリコモナス症は完治します。
女性であれば膣錠(膣に挿入して炎症を抑える薬)も有効ですが、内服薬なら男女どちらにも効き、高い効果を発揮します。
トリコモナス症の治療薬▶フラジール、ハイシジン(ファンジン)
特にフラジールは医療機関で第一選択薬として処方される内服薬です。原虫に対して高い有効性が認められています。
トリコモナス症は早期治療と再感染の予防が肝心なので、パートナーと一緒に確実な治療を行いましょう。