片頭痛とは

片頭痛は偏頭痛とも表記し、どちらも同じ意味の「へんずつう」です。
文字通り頭の片側で起こることがあれば頭全体に生じることもある慢性的な頭痛で、拍動に合わせるようなズキンズキンとした痛みが特徴です。

片頭痛は特定の原因によって引き起こされるのではなく、過度なストレスや睡眠サイクル、天候の変化、ホルモンバランスのゆらぎなど、一人ひとり原因は異なります。

男性よりも女性の有病率が高く、30代女性の5人にひとりが片頭痛を患っているといわれています。

片頭痛有病率

片頭痛の症状

片頭痛は頭の片側で起こると考えられがちですが、片頭痛患者のうち40%は頭部の両側で痛みを生じています

ズキズキと鼓動に合わせたような痛みが起こり、時間が経つごとに重症化します。
痛みは段階的にひどくなるだけでなく、歩いたり階段を昇降したりといった日常レベルの運動でも悪化。
ピークに達した痛みは、再び時間をかけて和らいでいきます。

頭痛の発症前に、片頭痛のサインである前兆症状が起こる人もいます。

片頭痛かも?セルフチェック

繰り返す頭痛、市販薬では治まらない頭痛に悩んでいませんか?

次のチェック項目に、ひとつでも当てはまれば片頭痛の可能性があります。

□ 4~72時間ほど痛みが続く

□ 頭部の片側が痛む

□ ズキンズキンと拍動に合わせるような痛み

□ 身体を動かす(日常動作)と痛みが悪化する

□ 吐き気をもよおし、実際に吐いてしまうことがある

□ 普段は気にならない光や音に過敏になる

いずれかの症状を5回以上繰り返している場合には、片頭痛であると判断されます。
(※該当する人は医療機関を受診し、正確な診断を受けてください)

前兆症状

片頭痛は、前兆がある片頭痛と前兆がない片頭痛に分けられています。

片頭痛の前兆症状

・視覚症状:閃輝暗転(せんきあんてん)
・感覚症状:しびれ、脱力感
・言語症状:喋りにくくなる

上記のうち、もっとも多くみられるのが閃輝暗転です。
視界にギザギザ・キラキラと光る模様が見え、少しずつ拡大。光って見える反動で暗く見える範囲が生じます

閃輝暗転は、眼の異常ではありません。脳の視覚に作用する部分で血管が収縮し、血流が急変するために起こると考えられています。

前兆症状は通常、5~20分ほどかけて進行し60分以内に収束。そのあとで頭痛が発生します。

頭痛以外の症状

片頭痛の症状は、頭の痛みだけではありません。

✔ 普段は気にならない光や音、匂いに対して過敏になる
✔ 皮膚の感覚が過敏になる(アロディニア)
✔ 吐き気が起きる(実際に吐いてしまう)

これらの随伴症状は、日常生活に支障をきたすほど重度に発展するケースもあります。

アロディニア(感覚異常)とは

アロディニアは、通常では痛みを生じないごくわずかな刺激によって痛みを感じる症状です。

頭部や上半身に触れるだけでも痛いため、衣服が触れたりシャワーを浴びたりといった日常的な動作ができなくなってしまいます。

アロディニアは、頭痛がはじまって20分以上経ってから起こるといわれています。
そのため、片頭痛の悪化およびアロディニアの予防のためにも、早い段階で鎮痛剤を服用する必要があります。

片頭痛以外の頭痛

頭痛と呼ばれる症状は片頭痛以外にもいくつかあり、原因によって一次性頭痛と二次性頭痛に分けられます。

一次性頭痛は、ハッキリとした原因を特定できないまま繰り返し起こる症状
頭痛のうち約80%を占めていて、片頭痛のほかに緊張型頭痛と群発頭痛があります。

二次性頭痛は、病気の症状として現れる頭痛を指します。
カゼや二日酔いといった比較的起こりやすい頭痛のほか、くも膜下出血や脳出血といった脳の病気で生じる頭痛も二次性頭痛に含まれます。

とくに発症率の高い一次性頭痛は、痛みが起こる原因や対処法がそれぞれ異なります。

緊張型頭痛

頭が締めつけられる

デスクワークやスマホの見すぎといった身体的負荷のほか、緊張や不安などの精神的なストレスによる筋肉の硬直が原因です。

頭や首、肩の筋肉が緊張することで血流が悪化し、筋肉内に蓄積した老廃物が周囲の神経を刺激することで痛みが発生。

生活を阻害するほどの頭痛ではないものの、頭部をギューっと締めつけるような痛みが数十分~1週間ほど続きます。

群発頭痛

目の奥がえぐられる痛み

一定の期間に集中して起こる頭痛で、発症している期間を群発期と呼びます。
20~40代男性に多くみられ、アルコールや狭心症治療薬によって誘発すると考えられていますが明確な原因はわかっていません。

目の奥でえぐられるような激しい痛みが起こり、目の充血や涙、鼻づまりなども併発。
じっとしていられないくらいの激痛が、群発期にほぼ毎日起こります。

片頭痛が起こる仕組み

片頭痛が起こる仕組み

片頭痛は、セロトニンの過剰分泌によって引き起こされると考えられています。

セロトニンは脳内物質の一種で、ホルモンバランスの乱れやストレスなど、さまざまな要因によって分泌量が変動しています。

セロトニン量の増加以外でも、アルコールの摂取やストレスにともなう血管拡張作用によって片頭痛を生じることがあります。

1、血中のセロトニンが急増すると、血管は一時的に収縮

2、増加したセロトニンが分解されて減少すると、縮んでいた血管は反動で一気に拡張

3、血管の拡がりが血管周辺にある三叉神経(さんさしんけい)を刺激し、痛みの原因物質が放出される

ホルモンバランスの変化

男性と比べて女性の片頭痛有病率が高いのは、セロトニンの分泌量がエストロゲン(卵胞ホルモン)の増減に比例しているからです。

女性は25~38日周期で月経を繰り返していて、排卵後に増加したエストロゲンは月経前に減少します。
エストロゲンの減少に合わせて、セロトニンの分泌量も低下。
セロトニンの減少が血管拡張を引き起こして三叉神経を刺激するため、片頭痛が起こりやすくなります。

ストレスや緊張

強い緊張を感じていたり、ストレスにさらされていたりすると片頭痛が起きやすいといわれています。

ストレスを感じているときは脳も身体も緊張状態にあり、筋肉や血管は収縮しています。
反対に、緊張がほぐれたり気が緩んだりすると血管は弛緩し、三叉神経が刺激されて痛みが生じます。

ストレスや不安を感じている最中に感じる頭痛は緊張型頭に分類されていて、片頭痛は脳がストレスから解放されるタイミングで起こります

つまり片頭痛は、緊張状態が続く平日よりもリラックスする週末に起きやすいといった特徴があります。

気温や気候の変化

季節や天気の変わり目に片頭痛が起こりやすいのは、交感神経と副交感神経の働きが乱れてしまうからです。

交感神経は人間の活動を司っていて、副交感神経は睡眠や休息を促します。

交感神経 副交感神経
活動モード(日中) リラックスモード(夜間)
血管が収縮する 血管が拡張する
血圧・心拍数上昇 血圧・心拍数低下

気温や気圧の変化が大きければ大きいほど、交感神経と副交感神経のバランスを保つことは困難に。
血圧の変動が頻繁に起こるため、片頭痛を発症しやすくなるのです。

ポリフェノールを含む食事やアルコール

片頭痛と二日酔いによる頭痛は異なりますが、アルコールも片頭痛の原因になります。

飲酒によって頭痛が起こる理由はふたつ。

・アルコールによる血管拡張作用で三叉神経が刺激される
・アルコールを分解する際に発生するアセトアルデヒトが神経を刺激している

アルコールのなかでも、とくにポリフェノールを含む赤ワインは大きな誘発原因になると考えられています。

ポリフェノールがもつ血管収縮作用の反動で血管拡張が起こりやすいためで、赤ワイン以外にもチョコレートやチーズ、オリーブオイルなども要注意。
しかし、すべての片頭痛患者がポリフェノールのせいで痛みを発症しているわけではありません。

安易に食事を制限することはQOLの低下に繋がるほか、脂肪や油分の多い食事が片頭痛に関係しているケースもあると考えられています。

片頭痛の対処法

片頭痛は明確な原因を突き止めることが難しく、現在のところ根本的な治療方法はありません。

発生した痛みを取り除く・痛みを悪化させないなど、起きてしまった痛みを緩和させるという対症療法がおもな解決策です。

ほかに、痛みを悪化させない行動や痛みを引き起こさないための対策などを実践していくことで、片頭痛に振り回されない生活を目指していきます。

片頭痛薬を服用して痛みを和らげる

片頭痛は軽度であれば市販の鎮痛剤(非ステロイド抗炎症薬)で鎮痛できることもありますが、基本的にはトリプタン系薬剤を用います。

トリプタン系薬剤はセロトニンに作用して、拡がった血管を収縮させて三叉神経に刺激が伝わるのを阻害します
痛みの発生源に作用するため、片頭痛が起こる前に服用しても予防効果はありません。

痛みを感じた、または前兆症状が起きたすぐあとに服用することで、悪化を予防し痛みを消失させます。

商品名 イミグラン ゾーミック マクサルト レルパックス アマージ
成分名 スマトリプタン ゾルミトリプタン リザトリプタン エレトリプタン ナラトリプタン
即効性 早い 遅い 早い 早い 遅い
持続性 短い 長い 短い 長い とても長い

片頭痛薬は、痛みが悪化したあとに服用しても本来の鎮痛効果が得られません

できるだけ症状が軽いうちに服薬することが、痛みを失くすためのコツです。

片頭痛薬を飲むタイミング

・軽く頭を揺らすと痛みがある

・前兆症状が出た

痛みを悪化させない工夫

片頭痛の解消にはトリプタン系薬剤の服用が有効ですが、いつでもタイミングよく薬を飲めるとは限りません。
薬を飲めない・持っていないときには、痛みを悪化させない行動を心がけてください。

片頭痛は頭部の血管拡張によって引き起こされるため、血流を抑えると痛みを和らげることができます

暗くて静かな場所で横になる

片頭痛が起こったら、横になって安静に過ごしましょう。

片頭痛を発症すると、少しの動作でも痛みが悪化したり音や光に過敏になったりします。

あまり光が届かない場所で・身体を動かさずに横になることで、痛みを過度に感じずに済みます。

頭部を冷やす

拡がった血管を収縮させ、血流を抑えるためには、痛みのある部位をアイスノンや氷のうで冷やすことが有効です。
入浴やマッサージなど、身体を温める行為は痛みを悪化させてしまうので控えておきましょう

ただし緊張型頭痛の場合は温めて血行を促すと痛みが緩和するため、頭痛の種類を正しく見極めなくてはいけません。

食事の改善、服薬で痛みを予防

片頭痛が起こりやすい状況や体調を自分なりに把握できれば、ある程度は痛みを予防・軽減することができます。

また予防薬を使って、痛みの発症や度合いを抑えることもあります。

セロトニンの分泌量を安定させる

セロトニンは、トリプトファン(アミノ酸のひとつ)・ビタミンB6・炭水化物から作られます。
バランスのよい食事を心がけるとともに、朝起きたら日光を浴びる・軽く身体を動かすなど、規則正しい生活を送ることもセロトニンの安定には必須です。

痛みの誘因食材を控える

ポリフェノールを含む食材(ぶどう・ブルーベリー・カシス・ココアなど)やアルコールは血管の収縮と拡張を引き起こしやすいので、食べすぎ・飲みすぎに気をつけてください。

片頭痛の予防薬を服用する

痛みを抑えるトリプタン系薬剤のほか、片頭痛を起こりにくくする予防薬があります。
過度な血管の収縮・拡張を抑えるほか、セロトニンの放出量をコントロールするために毎日服用します。

片頭痛を予防する薬

・シベリウム(成分名:フルナリジン)
・インデラル(成分名:プロプラノロール)

(※既往症やほかの持病によって服用できない場合があるため、医師の診断を受けたのちに処方してもらいます)

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